「また買いたい」と「友達には勧めない」の間に、本音は隠れている
「顧客の声を聞こう」と思って、顧客インタビューを設定した。1人あたり30〜60分かけて話を聞いた。録音を聞き直しても、商品改善のヒントが見えてこない。「素晴らしい商品です」「気に入っています」「特に不満はありません」が並ぶばかりで、何を変えるべきかわからない。
そんな経験はありませんか。
顧客の本音は、表層的な一問一答からは出てきません。インタビューの中で「ある瞬間」に、ぽろっと漏れ出すものです。
その瞬間とは、矛盾が見えたときです。
インタビューの真髄は、矛盾を解き明かすこと
例えば、あるアパレルメーカーの顧客インタビューでこんな場面がありました。
「この商品、また買いたいと思いますか?」と聞くと、「素敵な商品で、また買いたいです」と答えてくれる。
ところが「もし他の人にレビューを書くとしたら、どんな内容を書きますか?」と尋ねると、ネガティブな意見や注意点が次々と出てきました。「サイズ感が思ったより小さい」「着脱がしにくい」「色味が画像と違った」。
本人としては嘘をついていません。本人視点で聞かれると「全体としては良い」と答え、第三者に伝える視点に切り替わると「気になる点」がリアルに浮かび上がる。
この矛盾そのものが、商品改善の入り口です。
矛盾を引き出す3つの作法
矛盾を意識的に引き出すために、現場で使っている3つの作法をご紹介します。
作法1. 同じことを、2つの角度から聞く
本人視点と第三者視点で同じテーマを聞き分けると、本音と建前のズレが見えてきます。
- 「また買いたいですか?」と「他人にレビューを書くなら何と書きますか?」
- 「10点満点で何点ですか?」と「マイナス3点分の理由は何ですか?」
- 「気に入っている点は?」と「友人が同じ商品で迷っていたら止めますか?」
質問の角度を変えるだけで、表に出てこなかった「小さな棘」が顕在化します。
作法2. 矛盾を見つけたら、その場で正面から聞く
矛盾は無視せず、その場で深掘りします。
「先ほどは『満足している』と仰っていましたが、いまは『他の人には勧めない』とも仰いましたね。これはどうしてでしょうか?」
矛盾そのものを話題にすると、本人も自分の本音に気づきます。「ああ、自分はこの部分が引っかかってたんだ」と言語化してくれる瞬間が訪れます。
作法3. 「魔法の杖」で本能的な願望を引き出す
論理の延長線で聞いていても、潜在的なニーズは出てきません。そこで使うのが「魔法の杖」の問いです。
「技術的な制約をすべて取り払って、何でも実現できるとしたら、どんな商品が欲しいですか?」
制約を取り払うと、普段は諦めていた本能的な願望が出てきます。「濡れているのに暖かい服が欲しい」「着るだけで姿勢が良くなる服が欲しい」。本人もこれまで言葉にしてこなかった理想が浮かび上がります。この理想と現状のギャップが、次の商品開発の方向性を示してくれます。
appendix: 4層でインタビューを設計する
3つの作法は、より大きな設計の中に位置付けると効果が増します。私たちは顧客インタビューを4つの層で設計しています。
- LOGIC(判断基準): 究極の選択を迫り、購買時に妥協できないラインを探る
- GAP(評価と不満): 点数化やレビュー想定で、言語化しにくい不満を顕在化
- EMOTION(情緒と投影): 使用シーンや人物像から、情緒的価値を探る
- LATENT(潜在ニーズ): 技術制約を外した思考実験で、諦めていた理想を発掘
この4層を意識すると、表層的な「満足/不満足」では捉えきれない、商品改善と新商品開発の両方に効く示唆が引き出せます。
顧客の声から、商品を前に進める
インタビューで集めた「満足度8点」「また買いたい」を並べても、商品は前に進みません。矛盾を解き明かす対話で得られる「サイズ感が小さい」「魔法の杖があるなら姿勢が良くなる服が欲しい」のほうが、はるかに商品を前に進める力を持っています。
Fluxx Growth Partnerでは、顧客インタビューの設計から実施・分析までを伴走しています。「顧客の声を聞いているのに改善が進まない」とお感じであれば、ご相談ください。
広告運用から集客設計、業務の自動化まで
ツール選びから業務設計、自動化の実装まで——
すべて1社で完結できるのが私たちの強みです。




