10年使ったSlackの有料プランに別れを告げた日

10年使ったSlackの有料プランに別れを告げた日

ツール選定

先日、月初の経理チェックをしていて、Slackの請求欄で手が止まりました。

2015年からずっと有料プランを使ってきました。累計で支払った金額を計算すると、数百万円。Slackに育ててもらったと言っていいほど、会社の会話はずっとこのツールの上で流れていました。

その日、私は10年続けたSlackの有料プランを解約しました。

理由は「安くしたかったから」というのももちろんありますが、Slackを"ただのチャット"に戻すと決めたからです。

高いと感じるなら、無料プランで十分かもしれない

経営者同士で話していると、「Slackが高いからDiscordに移行したい」「ChatWorkからSlackに変えたいけど、高くて踏み切れない」という話をよく聞きます。

ここで一度立ち止まって考えたいのは、Slackは無料プランでも業務の大半が回るという事実です。リアルタイムのメッセージ、チャンネル、DM、ファイル共有。日常の連絡手段としてはほぼ不足がありません。月額が高いと感じているなら、まず検討すべきなのは他ツールへの乗り換えより、無料プランへの切り替えです。

ただ、無料プランに踏み切れない理由があります。無料プランでは90日を超えたメッセージが表示されなくなるのです。 私たちもそうでした。履歴が消えるのが怖くて、ずっと有料プランを継続していました。

90日を超えたメッセージが検索できなくなる問題の正体

残したい情報がSlackにしかない — 置き場所の問題

90日を超えたメッセージが検索できなくなる。これが怖いと感じるのは、Slackがストック情報の最終置き場所になっている会社です。

Slackはもともとフロー情報を流すためのツールです。リアルタイムの通知や会話を扱うのは得意ですが、あとから検索して参照するナレッジの倉庫として設計されたものではありません。にもかかわらず、タスク、顧客情報、議事録、ナレッジ、業務マニュアルが「あとでSlackを遡って見る」前提でSlackに溜まり続けている。こうなると90日で履歴が消える仕様は致命的です。

ツールを乗り換えても、この構造のまま移行すれば、移行先で同じことが起きます。Discordに移れば、残したい情報が今度はDiscordに溜まっていく。ChatWorkからSlackに来ても、同じ使い方をすれば同じ壁にぶつかります。乗り換えは、置き場所を変えなければ根本解決になりません

解決:ストック情報の最終置き場所をNotionにする

Slackはフロー、Notionはストック

私たちがやったのは、社員のSlackの使い方を制限することではありません。Slackには今まで通り、タスクの相談も、顧客の報告も、ナレッジの共有も、議事録のメモも流れています。ここは変えていません。

変えたのは、Slackをストック情報の最終置き場所にしないことです。

Slackはフロー情報の通り道。Notionはストック情報の保管庫。Slackに流れたもののうち残したい情報は、自動的にNotionに移る。Notionが「あとから検索して見返す場所」になり、Slackは流れを受け止めるだけでよくなる。これで、Slackに何が流れていても90日で消えていい状態になります。

言葉にすると簡単ですが、この「移す」を人の手でやると、すぐに破綻します。だから以前から少しずつ仕込んでいたbotの仕組みに、このタイミングで本格的に仕事を任せることにしました。

鍵になったのは、botがSlackからNotionへ情報を移す仕組み

Slack→bot→Notion の自動吸い上げフロー

botがSlackの各チャンネルを定期的に巡回して、残すべきメッセージをNotionの所定のデータベースに分類・保存していきます。

  • #sales に流れた商談メモ → 顧客DBの該当レコードに追記
  • #dev に流れた技術的決定 → 技術ナレッジDBにページ作成
  • #help で解決した質問と回答 → FAQデータベースに蓄積
  • 議事録の共有メッセージ → 議事録DBに格納

分類のルールはシンプルで、チャンネルの用途とメッセージのパターンで判定します。最近はLLMを挟んで、要約や分類の精度も上げました。

この仕組みが入ってから、「Slackに書いたけどNotionにもコピペしなきゃ」という作業がほぼ消えました。Slackで会話したあと、少し時間が経つと、自動でその会話の本質だけがNotionに移っている状態です。

結果として、90日でSlack側の履歴が消えても、必要な情報はNotionに残っています。むしろ今は「Slackで消えて困る情報はないか?」と自問して、必要ならbotの吸い上げルールを追加する運用になりました。履歴が消える期限が、ストック化の品質を保つチェックポイントになっています

ツールを乗り換える前に、無料プラン化を検討する

「Slackが高いからDiscordへ」「ChatWorkからSlackに変えたいけど高い」という相談が来るたびに、私はだいたい同じことを聞いています。

「無料プランに踏み切れない理由は、何ですか?」

ほとんどの場合、答えは90日で履歴が消えることです。これはbotでストック情報をNotionに移してしまえば、問題になりません。

もう一つ、Slack Connect(外部の会社とチャンネルを共有する機能)が使えなくなる点も挙がります。ただ、Slack Connect は双方が有料プランである必要があり、実際に常時接続が要るチャンネルは想像より少ないことが多いです。相手のワークスペースにゲストで入る、双方で無料ワークスペースを作る、メールやGoogleで代替する、といった選択肢で十分まかなえます。

決まっていないなら、どのツールに移しても同じ問題が起きます。乗り換えを検討する前に、90日をどう扱うかをまず決める。ここを飛ばして別ツールに行っても、結局は似たハードルを別の形で抱えることになります。

まとめ

10年使った有料プランを手放したのは、Slackが嫌いになったからではありません。ツールの位置づけが、自分たちの中でクリアになったからです。

Slackは情報の通り道。Notionは情報の保管庫。その間をbotが自動で橋渡しする。この整理ができたとき、Slackに払い続けていた月額が、自分たちにとって必要なものではなくなっていました。

Slackから安いツールへ移行したい、あるいはChatWorkからSlackに乗り換えたいけど高くて踏み切れない、という会社にお伝えしたいのは、ツールを変える前にまず、無料プランにできない理由と向き合ってほしい、ということです。履歴が90日で消えるのが本当に困るのか、困るならストック情報の置き場所をどう変えるか。ここに答えが出せれば、今のツールのまま無料プランに移れることも少なくありませんし、必要ならその先で乗り換えを考えればいい。順番を逆にすると、コストだけが増えていきます。

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Author

大平 兼士

大平 兼士

CEO

神戸大学経済学部卒業後、株式会社ミクシィにてminimoの立ち上げやマッチングアプリのWEBマーケティングに従事。2018年5月に株式会社Fluxx設立。2019年より株式会社メディロムに参画し、現在はメディロム・シェアードサービス取締役を兼任。

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