AIツール代が半額になる補助金、使える会社と使えない会社

AIツール代が半額になる補助金、使える会社と使えない会社

AI活用

「AIにも補助金が出るんですよね」と聞かれて、答えられませんでした

先日、ある経営者の方と立ち話をしていたときのことです。「AIツールにも補助金が出るらしいですね」と聞かれました。正直、その場では答えられませんでした。IT導入補助金という名前は知っていても、AIが対象になるのかは、私自身も整理できていなかったからです。

気になって、私たちFluxxで支援事業者の登録要領、ITツールの登録要領、公募要領、登録マニュアルの4本を読みました。読んで分かった結論は一つです。対象になる会社とならない会社が、思った以上にはっきり分かれる制度でした

正式名称は「デジタル化・AI導入補助金2026」。仕組みはこうなっています

この補助金は、以前のIT導入補助金の2026年版にあたります。補助率は費用の2分の1で、給与が最低賃金に近い従業員が3割以上いる会社は3分の2まで上がります。補助額は1つの業務プロセスで5万〜150万円未満、4つ以上なら150万〜450万円です。ツールの利用料も最大2年分が対象になります。

ここでよく誤解されているのが、AIツールが対象になるかどうかです。ChatGPTやClaudeも、国に登録された支援事業者が扱っていれば対象になります。私たちが公式サイトで確認したところ、Claudeだけで約70件のツールが登録済みでした。「AIは対象外」という思い込みは、もう古い情報です

使える会社かどうかは、契約する前に決まっています

対象になるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

申請は支援事業者を通してしか出せません

支援事業者とは、国に登録された、ツールの販売と申請の代行を担う会社のことです。この支援事業者が登録したツールを、その会社を通して導入する形でしか申請できません。ChatGPTやClaudeを自分で直接契約しても対象になりません。

自社の社員が使うことが条件です

自社の社員がツールを使うための費用だけが対象になります。たとえば私たちが広告運用の代行にAIを使っても、その分は申請できません。作業の代行や広告運用の代行を頼む側でも同じです。

GビズIDとSECURITY ACTIONを先に取得します

GビズIDプライムという、国の電子申請用のIDが必要です。取得には2〜3週間かかります。SECURITY ACTIONという情報セキュリティの自己宣言も、申請前に済ませておきます。どちらも申請する会社側で用意するもので、支援事業者には代われません。

交付決定より前の契約は対象外です

交付決定とは、審査を通って補助が正式に認められる通知のことです。この通知が届く前に契約や支払いを済ませると、その費用は対象から外れます。先に契約してしまった会社は、それだけで対象外になります。

追加ライセンスは対象にならないことがあります

この制度は新規導入が前提です。すでに契約しているツールを増席する場合、対象にならない可能性があります。試しに数人分だけ契約して様子を見る、という進め方は、この制度とは相性が良くありません。

今日決めたら、いつから使えるのか

いちばんの落とし穴は時間です。締切ごとに審査があり、締切から交付決定まで1か月強かかります。9月29日締切の回なら交付決定は11月9日の予定です。その前にGビズIDの取得に2〜3週間、書類の準備にも時間がかかるので、今日決めても使えるのは早くて2〜3か月後です。その間に待ちきれず契約すると、前の節のとおり対象から外れます。

もう一つ、見落とされがちなのが支援事業者側の事情です。支援事業者は、申請が不採択になると同じ年度内には再申請できません。そのため書類が揃っていない会社の申請には、支援事業者側も慎重になります。そして、これは大前提ですが、この補助金は審査制で、申請すれば必ず交付されるわけではありません

10人で2年使う会社の試算

ある会社を想定して計算してみます。Claudeの法人プランを10人分、2年間契約すると約76万円です(1人あたり年38,160円×10人×2年)。ツール代だけで見ると、補助率2分の1で手出しは約38万円になります。

導入研修や設定の支援も対象経費に含められます。仮にその費用が150万円なら、合計は約226万円、補助額は約113万円、手出しも約113万円という計算です。実際の金額は上限や採択の結果で変わるので、あくまで目安です

作業を減らしたい会社には、この補助金は向いていません

冒頭の疑問に答えると、線引きは意外とはっきりしています。自社の社員がAIを使えるようになりたい会社には向いています。一方で作業を減らしたい、代行してほしい会社には向いていません。代行費は対象外で、使えるまで2〜3か月かかるからです。補助金の設計自体が、社員による内製化を後押しする形になっています。

2〜3か月待つ間の人件費と、補助で浮く金額を比べて判断すべきです。今すぐ作業を減らしたい会社は、補助金を待たずに来月から始めた方が早いはずです。

私たちFluxxも、この制度の支援事業者として現在申請中で、この記事を書いている時点ではまだ登録されていません。登録が下りたら、この記事に追記します。それまでの間も、自社の社員がAIを使えるようになりたいという会社からのご相談は受け付けています。

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Author

大平 兼士

大平 兼士

CEO

神戸大学経済学部卒業後、株式会社ミクシィにてminimoの立ち上げやマッチングアプリのWEBマーケティングに従事。2018年5月に株式会社Fluxx設立。2019年より株式会社メディロムに参画し、現在はメディロム・シェアードサービス取締役を兼任。

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